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音楽漫画

ここんとこ、
「のだめカンターヴィレ」と「マエストロ」を
立て続けに読みました。

「のだめ」は最初のほうを105円で買って、読んでみたら、
かなり面白いので、止まらなくなり、結局最新刊まで読んだ。
こりゃ、ヒットするわ。

22巻で終わりらしくて、
20巻前後から、お話が収斂していくんですが、
いいですね!
いろんな伏線が、「ああこういうことだったのか」で
まとまっていく。ストーリーテラーだなあ。

最初のほうだと、完全に「千秋先輩」が主人公で、
「のだめ」はオマケみたいなもので、何考えてるかわかんない。
だから感情移入しにくいんですが、
決して「イヤな感じ」には描いてない。

で、中盤あたりで、「のだめ」の謎がだんだん明らかになり、
後半になると、主人公が切り替わって、「のだめ」の話になる。
これ、結局、「千秋先輩」は「最高の理解者」で「最高の引き立て役」
なんだろうなあ。

でも、漫画の面白みの大部分は、ワキ役たちのアンサンブルで、
ノリのいいコメディの部分なんでしょう。
「そう言う部分」に笑って、読む進むと、
「ハーモニーが一番奇跡的なことなんだ」みたいな
大きな主題が見えてくる。
(もっと、いろいろ「言いたい事」はある漫画だろうけれど)
うまい構造のお話だなあ。すごいね。

この主題で、もっとマジメにやっちゃうと、
重く暗くなるから、このくらいノリのよいコメディのほうがいいね。
「大きいテーマ」を漫才みたいなノリで、緩急付けて書くのは、
すごい手腕だと思う。手塚治虫みたいだ。
コレ、マネできたら、たいしたもんだね。
いちばん、ストーリー漫画として「オイシイ構造」だと思う。

この作者の前作の「GREEN」てえのも、2巻3巻だけ読んだけど、
キャラクター設定はよく似てて、
「のだめのひな形」みたいな感じもして、これも面白い。
絵は、「のだめ」ほどメジャー性がないけど。
だから4巻で終わっちゃったんだろうな。でも、悪くない。

さそうあきらの「マエストロ」も、
オーケストラの話で、これも面白い。
一編一編が、きちんとまとまった短編で、すごく丁寧なお話。
一本一本の完成度が異様に高い。
で、まとめて読むと、「なんか」が見えてくるという仕組み。
2巻までしか読んでなくて、その先がどうなってんのか知らないけど。

地味な題材を地味なまんま、小さい宝石みたいに描いてある。
掲載が「ウェブマガジン」のみで、しかも「月イチ」だから、
熱心なファンしか読まないだろうし。

同時期に、似たようなモチーフの「のだめ」が大ヒットして、
ワリくったようなトコもあるだろうなあ。
でも、面白い。

絵も、アシスタントあまり使わないで描いてるんじゃないか。
デジタル処理の試行錯誤はあるけど、
背景とか、生活感に気を配った画面で、
人物と合わせると・・・・つげ義春とかにつながるような、
むかしのガロっぽい、劇画みたいな画面になってきた。

ついでに、ハロルド作石の「BECK」の25巻あたりから、ケツまで・・・も
入手したので読んでみた。
こっちも面白い。けれど、お話の最初のほうほどじゃない。
バンドが成功するのは、読んでる方としては、もう「間違いない」なので、
どうやって「気持ちよくまとめるか」ってだけになってて、
結果、「気持ちよくまとまってて、ああよかった」って感じでした。

34巻も続けて、ちゃんと終わらせたんだから、
とにかく凄いよ。

湯水のごとくページと人的労力を使う「大画面の映画」みたいな画面で、
さそうあきらの漫画の「180°逆」みたいな画面だけどね。
豪華な漫画だよなあ。

漫画は音が出ないから、音楽漫画なんかダメ・・・みたいな話は
大昔で、音楽漫画って、たくさんあるんですね。

(2009年5月4日に某SNSで書いた文章です)

「のだめ」も「マエストロ」も世間からは遅れまくってハマった漫画でした。
「のだめ」は最終回までになんとか間に合ってファンになったという感じ。
2つ並べて感想書いたのは、比較するつもりではなくて、単に「たまたま」です。
どっちも宝物みたいな傑作漫画ですね。
by uorya_0hashi | 2010-08-09 13:35 | 漫画関連
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