スペクトルマン

 ブクオフで「ピープロ70'sヒ−ロ−列伝 スペクトルマン」
という本を買いました。
「買うのまた今度」で、絶版になって、買えなかった本。
 版元のソニー・マガジンズが、漫画とかアニメとかこのテの本から
手をひいちゃったみたいで、なくなったってた。

 作者の「成川哲夫」さんは、
ヒーロー、スペクトルマンに変身する「蒲生譲二」役の人。
当時の思い出話を書いてます。
 あとは、関係者インタビュー。各話あらすじ紹介。

 いやあ、なつかしかった。よい本でした。

 「スペクトルマン」は、帰ってきたウルトラマンの直前に
放送された特撮ヒーロー番組。製作は「マグマ大使」とか
後に「怪傑ライオン丸」をつくったピープロ。
 ピープロの社長は、手塚治虫と同期くらいの漫画家、うしおそうじ。
なんとなくあか抜けなくて、いろんな「いらない要素」がたくさん
混ざってて、子供番組とは思えないヤヴァイ展開が突然飛び出すという
油断のならない作品をたくさん作ったとこ。
 特撮とか、お金がないので、ものすごく安っぽい。
お金がなくて、見劣りするぶんは、アイデアと強烈なドラマ性で
とりかえそう・・・そんな作品ばかりだった。
 スペクトルマンは、そんなピープロの代表作。

 オイラ、たまたまだけど、第一話から見てました。

 はじめ、番組タイトルは「宇宙猿人ゴリ」。悪役の宇宙猿人の天才科学者の名前。
この番組、主題歌からしてすごかった。

「惑星E(猿人の星)から追放された このくやしさを忘れはしない」
「宇宙を旅して目についた 地球を必ず支配する」
  ラー(助手の頭のわるい怪力猿人)よ! 攻撃の時はきた! ウガーッ!
「私は科学者 宇宙猿人ゴリなのだ」
「だれにも負けない頭脳があれば どんなものでも恐れはしない」
「万能イスの威力みせ 人類征服企てる」
  ラーよ! さあ、やれッ! ウガー!
「私は帝王 宇宙猿人ゴリなのだ」
「自分の理想と目的もって 強く生きてるそのはずなのに」
「宇宙の敵だと言われると 身震いするほど腹がたつ」
  我々の力の程を見せてやれッ! ウガーーーー!
「私は科学者 宇宙猿人ゴリなのだ」

 うーん。いまさらながら、子供番組とは思えぬ、スゴイ歌詞。
天才科学者の独善的で孤独な魂が、高らかに歌い上げられている。

 当時、小学校で、理不尽なイジメにあっていたオイラは
宇宙猿人ゴリの孤独な魂に共鳴した。
 ゴリは言う。「宇宙の青い宝石、美しき地球を公害という猛毒で汚す、
愚かな人類よ! きさまらには賢い指導者が必要だ! わしに平伏すがよい!」
で、人類の毒である「公害」を素材に、さまざまな公害怪獣を製作。
それで街を襲う。・・・なんてカッコイイんだ! いいぞ! ゴリ!
愚かな人類を皆殺しにしろ! そう思って見てました。気が入ったなあ。

 迎え撃つ人類のグループは・・・情けないことに、ただのお役所。
都内公害調査局の職員たち。公害に関する怪事件を調査しているうちに・・・
だんだん巻き込まれ・・・というリアルなもの。
 「科学特捜隊」とか「ウルトラ警備隊」じゃなくて、背広着たおじさんたち。
見るからに、ただの犠牲者。

 でも、そこに蒲生譲二が現れて、加入。
この人、性格はいいけど、おっちょこちょいだったりして、
二枚目というより二枚目半。そこがイイ感じの好漢。
じつはネビュラの星から、地球を守るためにきたサイボーグ。
 空に浮かぶ、ネビュラの星に「変身ねがいます!」と頼んで
「変身ヲ、許可スル、スペクトルマン、変身セヨ!」と段取りふまないと
変身できない不便なヒーロー。やはり公務員か。

というわけで、悪の天才科学者と公務員の戦いがはじまる。

 ゴリの作戦は、かなりエグイ。
 団地に公害伝染病を流行らせて、となりの家族が一夜にしてゾンビみたいに
した。(・・・これは怖かった)
 人のよいダンプの運転手を、ゴミ喰い人間に改造。いくらでもあるゴミを食べ、
運転手はしだいに怪物化。巨大化して怪獣ダストマンになる。でも、意識は
人間のままなのだ。ダストマンはもとに戻れるか?
 白痴のソバ屋のアルバイト青年を「賢くしてやる」と脳専門の医者が手術。
手術成功、青年は天才に。大学を短期で卒業、世界的な博士になる。
だが、脳専門の医者とはゴリの手先だった。賢くなった青年は、生き物の
生肉を食べずにはいられなくなり、やがて隠れて人間の脳みそをすする、凶暴な
脳みその化け物ノ−マンになってしまう。「悪いと思っても、止まらないんだ!
スペクトルマン、俺を殺してくれーっ!」
 やたらと、人間の弱味につけこみ、人間を化け物にする。今なら放送禁止のネタが
つぎつぎと展開。

 だんだん、オイラも、ゴリの、そのあくどさにまいったのか、
スペクトルマンの庶民的な人なつこさに親しんだのか、
気持ちはゴリを離れ、スペクトルマンに移っていった。いけ! スペクトルマン!
 番組のタイトルも、「宇宙猿人ゴリ」から、「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」に
なり、最終的には「スペクトルマン」に変わった。

 秋田書店から出ていた漫画雑誌「冒険王」に連載されたコミカライズも
テレビに負けない、もしかするとテレビ以上におもしろいと言っていい
傑作でした。ウルトラマンもコミカライズした一峰大ニ先生の入魂の作。
秋田サンデーコミックスはみんな初版で持っております。
読み込み過ぎてボロボロ。何年前、角川から復刻版が出ました。
読んでみてください。読んだことない人は。熱くなるから。
 当時の一峰大ニ先生の「漫画力」はそうとうなもので、いまだに輝いております。

 ただ、スペクトルマンって、内容が危ないせいか、再放送もほとんどないし、
関係書籍も、当時は秋田書店独占・・・みたいな感じで、少ないし、
ウルトラ、ライダーに比べると、全然・・・・。昔、秋田から出てたA4くらいの
スペクトルマン図鑑くらいしかない。あとは太田出版のピープロ研究本。
 だから、この「ソニーマガジンズ」の本は貴重。

 しかし、この、ソニーマガジンズ「ピ−プロ列伝シリーズ」、売れなかったのか
版元の路線変更のせいか、続巻は第2巻に「怪傑/風雲ライオン丸」でうち止め
だったらしく・・・残念。
 「怪傑/風雲ライオン丸」も、読みたいので、どっかで探さないと・・・。

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by uorya_0hashi | 2005-05-13 12:41 | 映画関連
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