みなもと太郎画業40周年記念パーティ 01

というのが、ゆうべ、新宿の厚生年金会館でありました。
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「参加しますか?」という招待状みたいな往復はがきが来たので、行ってきました。

なんで、俺みたいな無名な漫画家に、そんなもん来んだろ?
と、思ったら、「中野晴行さんの紹介です」とか書いてある。
こないだ「酒井七馬の紙芝居を都電のなかで味わう会」を
主催した、漫画評論家の中野晴行さんに、二次会のそば屋で
「僕、みなもと太郎先生、大好きなんすよ!」と
力説していたので、中野さんが気を利かせてくれたのだろう。

みなもと太郎先生といえば、「ホモホモ7」と「風雲児たち」で有名ですが、
「漫画が本当に根っから好きで、しかも子供の時から
ずっとリアルタイムで漫画を読み続けて来た漫画マニアの漫画家」としても有名。

意外なことかもしれませんが、
「本当に漫画が好きで好きでしょうがなくて、家のなか、漫画だらけ・・・という漫画家」は
少ないんです。
職業漫画家で、同時に漫画マニア、コレクター、漫画研究者、
「職業漫画家、趣味漫画読み」というひとは
何人もいない。
だいたい、週刊連載なんかやってれば、ひとの漫画なんか読んでる時間がないし。
漫画を人任せに出来るくらい、偉くなった先生だと、
趣味はゴルフ、お酒飲む事、映画、音楽、スケベなこと・・・
つうパターンが多い。
「趣味でも漫画読むなんて、どうかしてるんじゃねえの?」みたいな雰囲気が
漫画界にはあるんです。
「他人の漫画見ちゃうと、影響されちゃうし」「俺は駄目だなとか、うらやましいとか思うから」
あんまり読まないようにしてる・・・とか
「最近の漫画はもう、文法も違うし、萌えだのなんだのわかんねえし、もう読みません」
「昔の漫画読んでもなあ、懐かしいって思うだけだろ。関係ないね」とか
そういう雰囲気が、すごくある。
他人の漫画読んでも、自分が儲かる訳じゃないから、当然だろ・・・とも
思うけど、その「漫画愛のなさ」、身近に接すると、漫画ファンしては
いたたまれなくなるくらいの先生が多いんです。
みんな「実もふたもない言い方」するもんなあ。
表向きには、そんな顔見せないけどね。

思いつくだけで列挙すると
長谷邦夫、松本零士、みなもと太郎、いしかわじゅん、夏目房之介、唐沢なをき、
すずき寿ひさ・・・まんだらけの社長? あと、誰だっけ?
とか、そんくらいなんじゃないですか。

こういう人たちは、漫画界の中でも、かなり変わってる。
「自分の漫画はさておき」というスタンスが「当然のこと」になっていて、
「漫画愛」の観点から、他人の漫画を批評できるから。
しかも、それは「漫画の歴史」をふまえて、「いま流行っているもの」とかいう
ファッションじゃなくて「学問」とか「定理」とかそういうモノで語ろうとする。
漫画を書かない(書けない)評論家とは、また違う、
実作者ならではのスタンス。プレーヤー兼解説者もしくはコーチ。

よく「自分はそんなにたいした漫画、書いてないくせに、良く言うよ」とか
陰口たたく人もいますが、そういう チンケなものとは全然違う。

「マンガ夜話」とかの番組もあって、
だんだん、世の中にもそういうことが理解されてきた。

で、みなもと先生も、ずいぶん、漫画界で大切にされるようになってきた。
先生が、現役でばりばり頑張っておられるのと、
熱心にコミケに参加されて、若い世代や同人誌・・・
「版元とは違う漫画の世界」と積極的に交流されていることが大きいと思います。
オタクの世界でも「別格扱い」。これが大きい。

10数年前、もうぶっつぶれてしまった
お墓の石材の業界誌の編集者に、僕の友達がいて、
そいつは「風雲児たち」のファンだったものだから、
「歴史に関するインタビューの特集記事」を
みなもと太郎先生にお願いした。
で、取材の後の「接待」に、僕も呼んでくれたんです。
「俺は風雲児たちのことならわかるけど、それ以前のみなもと先生のことなら
お前のほうが詳しいから。お前だって、会いたいだろ?」
と、いうことで・・・。喜んで、飛んでいきました。

はじめて会ったみなもと先生は、なんか不機嫌そうでした。
こわいひとに見えた。
「 ファンだから・・・といって現れたこの大男は、どこの馬の骨だ」とかいう
顔をしていました。

でも、漫画についての細かい話・・・古い漫画の話になり、
「こういう質問すると、喜んで話してくれるだろうな」というネタを振り込むと
目は輝くは、声は高くなるわ、見ぶり手振り・・・
ハイテンションのバリバリになっていき、もう止まらない。
「本当に、ものすごく漫画が好きなんだあ」 って思いました。
絵物語や、日本古来の書画における「右尊左卑」の話など、
大学教授の講義を聞いてるようだった。
ものすごく楽しい時間を過ごしました。

で、ちょうど、そのころ、先生はコミケに参加しだしたころだったのかな。
「ぜひ、コミケのお店に来なさい!」とか誘ってくれた。
「絶対行きますよ!」とか、即答したのに、僕は、
「行列並ぶなんてやだなあ」とか行ってすっぽかした。

そしたら、山のように「同人誌」が宅急便で送られて来て、
恐縮するやら、感動するやら。「すみません、すみません!」の嵐。

先生が「今ふうのアニメ美少女を研究した」という
ピンナップ同人誌もありました。
「あの歳で、こんな絵を描くの? 描こうと思うのか? すごいなあ」って思った。
ふつう「これが俺の絵柄だ。なんか文句あるか」とか
ドカ〜ン!とふんぞりかえって、「読者に媚びるなぞ、やっていられるか」とか
言いそうな年齢、そして「立場」なのに、
ネチネチと舐めるような描線で
「アニメ美少女」を描いている。

「うむ。すごい。枯れるということがない。
これは、一種の変態だろう」と思いました。
そういう部分では「永井豪」と同じ。骨がらみのスケベ。二次元フェチ。
いや、永井豪先生はさすがに「自分の絵に淫する」みたいな部分は
ないから、ああいう感じでは、みなもと先生だけなんじゃないかしら。
こういう部分は「研究家」とか「勉強」という枠を踏み越えている。
20代の、 チンチンびんびんな若者ならともかく、
見かけは立派なおじいさんが、コレをやるかあ! って思いました。

なんて、カッコイイんだ!
しびれる。こういうかっこいい変態じいさんに私はなりたい。
スケベジジイとは全く違う、変態絵描きじいさん。いいですね!

こういう「変態絵描きパワー」と「純粋な漫画愛」、
そして「歴史の面白さを伝えたいという気持ち」。
今回は、語ることができませんでしたが
「ギャグだからといって、不当に差別されることに対する反骨心」
「漫画らしさが一番面白くて、武器になるよ」というようなモノが
40年・・・いや、それよりも長期間、
渦をまいてるのが、みなもと先生だと、僕は思っております。

だ、もんで、
招待状が来たから、いそいそと・・・・・。

しまった!
パーテイのこと、こういうことがあったよ・・・とか
書こうと思ってたのに、
前フリから「みなもと太郎讃歌」で
めいっぱいになっちゃったよ。

ま、いいや、それは、また次に書きます。

ブログなんか、そんなもんですよね.
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by uorya_0hashi | 2007-09-24 13:35 | 漫画関連
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