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深夜アニメ「墓場鬼太郎」

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録画して、さっき、見ました。

つまんない。ダメです。

原作どおりというか、
原作の絵、そっくりにアニメにしてるんですが、
そこが完全に勘違い。

水木しげるの絵って、
絵そのものに「時間が封じ込まれて」いて、
「異様に書き込まれた背景」とか、
アメコミのホラー漫画チックな「恐怖の表情」とか、
そういう場面で、目を止めて、
舐めるように味わうのが醍醐味。

つまり、そのコマに目をとどめる時間は、
「現在の漫画を読むスピード」より、全然長くて、
「一枚絵を鑑賞する」くらいの時間をかけたりする。

そういう読み方を、つい、してしまうようなところがあり、
それが、お話を読むとき、
読者が、自発的に「緩急」とか「間」をつけてしまう・・・
そして、それが「恐怖にむすびつく情緒」になっているんです。

でも、このアニメ「墓場鬼太郎」は、
原作の絵をなぞるように尊重しつつ、
そういう「緩急」とか「間」を
「時間軸が決まってる映像作品」として、「独自」に
計算してつくっていない。

「映像作品」ですから、
ジックリ「間」を取りたいときは、
その部分、実際に、時間をかけて、見せるしかないのに、
30分で、「これだけの話を消化しなくちゃいけない」ということに
こりかたまって、
「原作そっくりの絵」を少しずつ、動かして、
パッパカパッパカ、カットを切り替えていきます。

現代の日本アニメは、異様にカット数が多いんですが、
この墓場鬼太郎も異様に多くて、
絵を味わう「間」もないですし、めまぐるしく、
情緒がもりあがらない。

怪奇映画なんか、出だしのところは、
ロング〜ミディアムを多用して、カット数も少なく、
長回しとか、できるだけ「フツーに」少しずつ怪異を見せていき、
盛り上がってきたら、クローズアップで感情を書き、
クライマックスでアクション、こまかいカットを繋げて
動きと緊迫感・・・とか、
見せ方は決まり切っていると思うのに、
この馬鹿アニメは、最初から、
クローズアップだらけだし、カットはこまかいし、
登場人物が、どこにいるのかわかりにくいし、
時間も夜なんだか、昼なんだか、わかりにくいし、
キャラクターに感情移入するエピソードもないし、
いいところ、探すの難しいです。

原作どおりなんだけどなあ。ほぼ。
「幽霊の血を輸血する」というくだりと、
「生まれたばかりの鬼太郎が墓石に目玉ぶつけて失明する」
というところが、変な感じにごまかされてましたが。

原作どおりに「アニメにしたから」、こんなに駄目なんでしょう。
だいたい30分に、いろいろ詰め込みすぎる。
これじゃ、初回から「総集編」みたいだ。

原作を尊重しつつ、30分のアニメとして、ふさわしい内容に
刈り込んで、「一番言いたいこと」をもっと
絞って、「恐怖アニメとして、面白いもの」を目指すべきでした。
狙いとして、「怖くしたい」のは明白なのに、
ひとつも怖くない。
アニメ作品として、どういうコトを観客の感情に訴える
べきなのか、よくわかんなくなってる。

「原作どおりですよ。つまんなきゃ、原作のせい」
とでも、いいたいのかな。無責任なんだよナ。

オープニングテーマのところの、水木漫画をそのまま
紙芝居アニメにしたような部分のほうが、
水木漫画の「味わい」「情緒」をそのまま味わえるため、
あの部分のほうが、はるかに面白く感じられた。
あのままのテイストで、「簡易アニメ」でやったほうが、
全然イイと思うんだけどなあ。

とにかく、普通のアニメより、ずっと、お金はかかってる雰囲気なのに、
これだけつまんないのは、かなり悲しい。すごい無駄遣い。
「原作そのまま」というコンセプトが
「大間違い」だった・・・・ということでしょうな。

いやあ、僕、水木ファン40年ですからねえ。
原作に近いだけ、許せないような気もするな。
こんなにつまんないと。

(2008.01.11記)
by uorya_0hashi | 2008-01-14 13:47 | 漫画関連
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