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キャラクターって? だらだら話

下に「キャラクタ−病」というタイトルで書いた文章があるけど・・。
実際、キャラクターって言葉には、ひろい意味があって
どういう意味で人が受け取るか、予想がつかない。

登場人物=キャラクター
人物の性格=キャラクター
グル−プ内の人格的役割分担=キャラクター
など、いろんな使い方をする。

下の記事で「キャラクター病」と書いたときの
キャラクターとは・・・
90年代前半のキティちゃんブームや
90年代後半のフィギュアブームをへて
90年代末期のポケモンあたりで決定的になった、
「小さく、コロコロしていて、かわいらしい・・・
みるからに子供のオモチャになりそうなモノ」ってこと。
キャラクタービジネスのネタになりそうなものともいえる。
マークとか、アイコン、ペット的なもの。
警視庁のピーポくんとか、万博のモリゾー、キッコロとか
巨人のジャビットくんとか、各地の御当地キャラとか、
なんかそんなもののことです。

子供漫画の現場では「いいキャラがほしいんだよ!」
なんて、よく言われますが、それはだいたい
こういう意味でして。
「オモチャになって、キャラクタービジネスで儲かるような
デザイン」が欲しいってことです。

こういう
儲かりそうなキャラって、けっこう「イラストレーター」の方が
得意としていて、イラストレーターのホームページとか見ますと
「キャラクターイラスト得意です」とか書いてあって、
けっこうかわいいのが飾ってある。

でも、たいてい、こういうキャラって、
飾って眺めるのはいいのですが、
お話の中に放り込んで、活躍させ、漫画という形にするのが
難しいのです。
まず、イラストレーターと漫画家は、別のもので、
漫画がかけるイラストレーターは、少ないです。

それに、キャラクターそのものに限界がある。

かわいいだけでは、お話にならない。
葛藤があって、状況と戦い、勝利する・・・なんてドラマが
まず、似合わない。
なにも考えず、明るく楽しく、わーいわーいと言ってるだけでは
おもしろくないのです。

ギャグという点でも、かわいいキャラが、いじわるしたり、
変態的なことしたり、反社会的なことをするわけにはいきませんから、
「うわあ、失敗。まいったなあ」レベルがお似合いで、
パンチのきかせかたにも、すぐ限界があります。
聞き間違いで勘違い、ずっこけ・・・とか、そんなのばっかり。

アクションをさせようと思っても、手足が短く、関節がないようなのが
普通なので、複雑な動きをさせにくい。

ゲームの画面みたいなところで、小さくても
見る側の想像力で補完して、味わうぶんには
こういうキャラで充分なのですが。

あるいは、アニメになれば、上手にカット割りし、音楽や音、声の
助けをかりることもできます。

しかし、漫画は白黒ですし、ペ−ジ数も限られてます。
かわいいキャラが、イメージを壊さないような制約だらけのお話の漫画で、
優等生的に活躍し、おもしろい! というレベルになることは、
ほとんど奇跡のように・・・まれにしかありません。

だから、簡単に言って、そういうペット的な
キャラクター優先漫画は、あんまりおもしろくないのです。

やれるとこはわずかで、
主要キャラではおもしろくないので
ゲストキャラとか、悪役、汚れ役で面白さを出してゆくことぐらい。
ただ、やりすぎると、主役がめだたない! と叩かれます。

で、うまくいかなかったとき、
責任を取らされるのは、いつも漫画家です。
「実力がたらなかった」と言われます。
これは、たぶん真実なので、なにも言えません。
おそろしく実力がある人なら、なんとかするでしょうから。

使ったキャラクターが、玩具屋さんやゲーム屋さんのものだと
制約はますますきつくなり、漫画の条件はきびしくなります。
人気は、玩具やゲーム人気に便乗できるかもしれませんが。

たとえ、うまくいっても、漫画の印税はともかく、
キャラクタービジネスでの取り分はありません。
これも、当然のことでしょう。
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by uorya_0hashi | 2005-10-30 02:17 | 漫画関連

テレビアニメ魂

と、いう本を読みました。
見るからに地味な、講談社現代新書。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061497898/250-1328890-4982663

本屋で、たまたま手にとり、
「はじめに」の部分を読んで、「そのとおり!」と
膝を叩いてしまったので。

作者の山崎敬之さんは、
もと東京ムービーのシナリオ制作担当。
「巨人の星」「アタックNO.1」「怪物くん」「天才バカボン」
「赤胴鈴之助」「宝島」「ベルばら」「アンパンマン」などに
かかわった人。この本には、それらアニメの制作現場の
裏話が満載です。そういうアニメで育った世代なら、
文句なく楽しめます。

ただ、この本は、
「裏話をおもしろおかしく書く」というのは、
実は、二次的なものなんじゃないか・・・と思いました。

本当の意図は、「はじめに」に書いてあることだと思う。

「ジャパニメーションなどと、もてはやされ、濫造されている
テレビアニメだが、どれもこれも、年長者のマニアむけではないか。
子供達が日常的に楽しめるアニメがほとんどない。
やってないことはないが、そういう子供むけは徹底的にドラマが弱い。
それは、テレビゲームの焼き直しだからなのだけれど、
『子供がドラマを理解できない・・・』なんてことは、絶対にない。
子供むけアニメを考え直すべきだ。
いまの子供むけアニメは、
完全に、スポンサー(ゲームとおもちゃの会社)のために
あり、そっちを向いてしか作られていない。間違いだ!
『子供たちのほうを向いて』作るべきだ!
昔は、今のような、どうしょうもないありさまではなかった。
・・・こういう熱気があった。私の昔話を読んで、
子供アニメの復活のヒントをさぐってほしい」

なんか、こういうことが、もっと、やわらかい形で書かれています。
「はじめに」に。

で、そういう意図を持って、昔話が並べてあるので、
よみやすく、おもしろいだけでなく、
読むべき人間が読めば、「ためになります」。

普通の人が、そんなこと、意識しなくて読んでも、作者に
そういう意図があるため、本として「背骨が通って」おり、
雑学というか、雑ネタを、ただ羅列した本より、おもしろいのです。

山崎さんは、シナリオライターではなく、
シナリオになる前の、プロットというか、
お話の「背骨」を決める役職だったようで、
かえって、お話をつくることの細部にふみこまず、
大掴み、離れてみた時に、そのお話がどうなってるか・・・に
するどい。

宮崎駿とか出崎監督など演出とか絵書きは、
結局のところ、ディテールの人なので、
こういう「離れて見る人」が
サポートしないと、ぐちゃぐちゃになります。

離れて見たときに、
話が面白いかどうか決定してしまうのが「ドラマ」なのだけれど、
作者は「自分のドラマ観」などについては、長口上で
理屈を言ったりして、踏み込むようなことは、あまりせず、
実例をあげて、「感じてほしい」レベルに留まっています。

巻末に、「シナリオには法則がある」という章があり、
ここに「ドラマ論」的な話があるのですが、どこか、いまいち
ケムにまいたような印象があります。
それでも、充分、面白く、ヒントになるのですが。
ちょっと、奥ゆかしすぎるなあ。

山崎さんのような人が、
川辺一外の「ドラマとは何か?」みたいな本を
書いてくれると、わかりやすく、ふんづまった状況に
渇を入れるインパクトがあるのですが。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4871002144.html

まあ、とにかく40歳前後のテレビまんが世代は、必読でしょう。
おもしろい!

読めよな。俺の友達なら。
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by uorya_0hashi | 2005-10-28 12:09 | 漫画関連

月日はすぎてキャラクター病2

で、月日はすぎまして、
コロコロをリストラされた僕は、
学習関連以外、仕事がないので、しかたなく
コロコロのライバル、ボンボンに行きました。

で、なぜか、はじめに
「恐怖漫画、書かないか?」ってことになった。

その後、いろいろあって、
「ホラーギャグ」を考えて、持ち込んだんですよ。

コロコロでやった妖怪学校ものとは違って、
お話の構造は、藤子F不二雄調というか。
オバケ好きの少年とお化けの友情物語が主軸の
ストーリーギャグ。

2.3回、担当さんと、ねりこんで、会議に。
そしたら、編集長さんが
「このキャラクターを使って、どんな商品展開ができるか考えろ」
って、言い出したらしいんです。
気にいっては、くれたらしい。

結構なお話なのですが。
担当さん、
「大橋さんも、一緒に考えてくださいよ」
「あー。いいですよ。俺なんかが役に立つのか、わからんですけど」

とにかく、めったやたら、いろいろ考えました。
いろんなキャラクター商品を。
玉石混交というか、ほとんどクズなアイデアだったけど。
フィギュア、おもちゃ、ゲーム、教材とかアパレルとか、
冗談みたいなものまで。

でも、たくさん書き散らかしながら、
こんなこと、漫画家がやることだろうか?
まだ、その漫画が掲載されるかどうか、わからないのに?
とらぬ狸の皮算用・・・って、いうけど、それ以上。
冗談みたいな世界だなあ。
そう、思いました。

で、それを見せたらしい。
「いけるかも。でも、漫画のネームのこことここ、なおしてください
そう言われました」
「あー。でも、そんなふうになおすと別の漫画になっちゃうんで・・・。
妥協して、こんな感じでどうです。これなら、まだ納得できるんですが」
「うーん。いまいち、中途半端かなあ。前のほうが良かったかな」
「前ので、ちゃんとできてるのをいじったんですからねえ。
とにかく、見せてみてくださいよ」

それを見た編集長。
「つまらん! 全然違うものにしろ! キャラクター性を押し出した
4コマ漫画にしろ。友情とか取っちゃえ。ただ単純に笑わせるものがいいな。
それで、よければ認めてやる」

「・・・だそうです」なげやりに伝令してくる担当者。
言われたとおりにしないから、こうなるんだ。
あとは、どうするか、あんたが決めろ・・・みたいな感じ。

どうしようかなー。
「お化けとお化け好きな子供の
心の交流を書こうと思って作った
キャラクターなんだけどなあ」
「そのキャラクターの絵面だけ、生かして、違うものにするのは・・・
どうなんだろ?」
「仕事ないからなあ。やるべきなんだろうけど。」
「取らぬ狸のなんとやら・・・までやったしなあ」

しかし、ここまで
はじめの持ち込みから、10ケ月はたってます。
はじめの「書かないかと提案された恐怖漫画」も、
編集長の思い付きで一転、ニ転、三転。グチャグチャになりました。
(そのあと、誰か知らない漫画家が、ひきついでいるはずですが)

実は、この漫画、「これで駄目ならもういいや」のつもりで書いたものです。

10ケ月、いろいろやったし、いろいろ書きました。
ずっと、仕事になってないから、あたりまえのようにタダ働きです。
家計も、非常に苦しくなってまいりました。

なんか、この先、なにやっても、同じなんじゃねえの?
編集長、言ってることが、コロコロ変わるし、何言ったんだか、
忘れてるような有り様だしなあ。
そういうのって
どうでもいいって、思ってることの証明だしなあ。
さぞや、忙しいかたなのだろうな。

・・・・・
キャラクターか。
漫画のストーリーとは、全然、ちがうもの。
ビジネスのネタなんだよなあ。これって。
金儲けのアイコン。

だんだん阿呆らしくなってきました。
自分の漫画が、哀れに思えた。
心をこめて書いたんですけどね。
まあ、そんなこと、他人には関係ないわな。

・・・・・
でも、まあ、もうしばらくしたら、頭も冷えて、やる気が出るかも。
そう考えて、ちょっと、自分の頭の中の、様子を見ることにしました。

「甘い!」って、言う先輩とか、いそうだけど。
僕は、もともと「正統派、ストロングスタイル」の漫画家じゃない
「邪道/外道」な漫画家なので、ここらが潮時なのです。
場外エスケープして、勝負はうやむや。
ちょうど、従来の主戦場、学習漫画の仕事も入ったし。

と、いうわけで、
児童漫画雑誌の現状は、こんなもんです。
人によっては、「そんなことないよ。一面的だ!」とか言うんだろうけど。

これが、リアルだ! へっへっ。
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by uorya_0hashi | 2005-10-26 17:00 | お仕事関連

キャラクター病

コロコロで、「売れる漫画家になろう!」と
野望があった時代の話だけど。

増刊でオリジナルの読みきり漫画を描けそうなチャンスが!
やったね!
どんな漫画がいいかなあ?
担当と相談しました。

で、妖怪ギャグをやろうと。
「学校の怪談」は、人間の学校にお化けが出るんだけど、
逆でさ。
お化けの学校に、人間がひとり、迷いこむの。
どうかなあ?

担当さん、「あ、いいかもね。じゃあ、キャラクター書いてみてよ」
キャラクター設定図みたいなものを描いてこいとのこと。
描きました。何枚も。で、見せた。

「みんなボツ! かわいくない!」
「え? だってさあ、これ、主人公を怖がらせるわけだから、
ある程度、こんなんじゃないと。愛嬌は必要だと思うけど。
かわいくなくていいんじゃないの?」
「だめだめ! コロコロの漫画は、かわいくなくては駄目なんです。
ボケモンを見なさい。誰が見てもかわいい。かわいいことこそ、一番大切。
かわいくなくては、漫画ではない! まあ、これが基本方針です。」

「へー。そうなのか。俺、おもしろいことが第一だと思ってましたよ」
「それは、昔の考え方ですね。ボケモン以降、すべては変わりましたね。
おもしろいかどうかは、受け手の感性によりますが
カワイイかどうかは、もっと確実なものです。まあ、大橋さん。
売れたいと、思ったら、かわいく描くことですよ」
「なるほど。プロなら、要求に答えるべきですね。」

必死こいて、かわいい絵を研究しました。
なんとかなるかな・・・って、レベルにはなったが、
さすが付け焼き刃。あか抜けない。

「うーん。まあ、前のやつよりいいですね。もうひと押しかなあ。
主要キャラ以外のお化けも、かわいらしくデザインしてみてください」

「はあ。はいはい。
あのー、でも。どうなんでしょうねえ。
キャラクターってのは、漫画の中で、活躍して、動いてナンボのもんですから、
あんまり、こう、かわいらしさ一辺倒だと、動かしにくいというか、
自分の得意なドタバタに持っていきにくいような・・・・。」
「あー。いいんです、いいんです。とにかく、キャラクターの絵が
会議にかけられて、『これなら描かせてやってもよい』ってことに
ならなきゃ、始まりませんから。話なんて、あとで、どうにでもなりますよ。
なんなら、僕が考えますから」
「そんなことより、もっとカワイク! ボケモンはもちろん、
古今東西のかわいいものを真剣に研究してください。大橋さんの将来が
かかっているということをお忘れなく!」
「はい! がんばります!」

「がんばります」と、元気に答えたのはいいんですが、
しばらくたって、フツフツと腹がたってきました。

「あれ、かわいければ、あとはどうでもいい・・・って、ことだろ?
キャラクターの『絵』が会議にかけられて、描かせてやってもいいって
なれば、仕事をくれる・・・・?」
「どう考えても、変だよなあ。
こういうテーマで描こうって、意図があって、
それにそったお話があって、それにあうキャラクターがいて、アイデアとか
演出が・・・」
「ずいぶん変わったやりかたじゃねえか。これ?」

つぎの打ち合わせ。

「ほう。やればできるじゃないですか、大橋さん。これなら
説得のもっていきかた次第では通りそうな気配。いま、穴が開いてるし。
妖怪版ボケモンを狙いますとかなんとか、適当に言えば・・・。
いやいや、ご苦労様です。でも、これとこれとこれは、まだ駄目。かきなおし!」
「あのー。ちょっと考えたんですけど、このやりかたは変だと思うんですよ。
お話ほっといて、かわいいデザイン画を競い合うってのは・・・。
なんちゅうか、もう、漫画じゃない・・・というような感じが」

「あー。駄目駄目。大橋さん、そういう疑問を持っては、生き残れません。
大橋さんの知っている先輩方を思いおこしてください。
時代は変わったんです。ボケモンから! 180度!
僕の考えじゃありませんよ。これ。
個人としては、気持ちわかる部分もあります。
ですが、これは、わが編集部の方針なのです!
あなたのためを思えばこそ、ここまで言うのですよ!」

ぐう。そこまで言われちゃあ、どうにもなりません。
僕のためを思って、こころを砕いてくださる。泣けますね。

そうか。
疑問を持ってはいけないのか。
上官の命令に逆らえば銃殺! 軍人になったつもりでやるしかない。
しかし、いつから、ここは軍隊になったんだろ?

いやいや、昔から、そうだったのかも。俺が知らないだけかもなあ。
なにしろ、俺、メジャーで賞取りしてデビューとか、まともな漫画家じゃ
なかったし。学習漫画でデビューして、読者ページ専門だったし。

素朴な気持ちで、藤子先生にあこがれて・・・・エライとこ来ちゃったなあ。
とにかく、頑張ろう。

と、いうわけで、その後、そのお仕事がんばりました。



結果?

ははは。うまく言ってたら、こんなクダラネエ文章、書いておりません。
今、読み返すと、あらゆる意味で中途半端。
自分を偽り、職業軍人になったつもりでしたが、
根性が曲がっているので無理でした。

カワイイもののインフレに慣れた子供達には鼻もひっかけられない。
お笑いとしても、中途半端。
かなりの糞漫画。今、ふりかえるとね。当時は自信作でした。

しかし。
この一件は、「自分の中で」かなり尾をひきましたね。

子供漫画の現実を目の当たりに見たなあ。
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by uorya_0hashi | 2005-10-25 21:41 | お仕事関連

添削編集者

10年くらい前かなあ。
ある、学習誌で、4ページで「好きなギャグ」書いていい・・・
って、言われたの。

好きな・・って言ったって、
「学習誌」だからね。反社会的なものを書くわけにはいかない。
適当に無難なの描きました。

担当は、はじめ、それまでにもさんざん世話になった
古参の編集者だったの。
「おう、うおりゃー! また頼むな! あぶねえのだけは勘弁してくれよ」
みたいな感じだった。

で、2.3回目で、若い女性に担当が変わったの。
「こないだまで、テニス雑誌作っていたんだ、彼女。
まだ新人だから、いじめないようにな!
まあ、ひとつ、大橋くん、鍛えてやってくれよ!」

そら、来た。
こういうふうに、担当が世代交代して、
「ひとつ、鍛えてやってくれ」・・・こういう物言いのとき、
だいたいなんかが起こって、終っちゃうんだよな。
そういう予感はあった。

彼女、ものすごく真面目な雰囲気。
みだしなみもしっかりしてるし。「よろしくお願いします」
雰囲気、天気予報のお姉さん。

で、漫画のネーム・・・鉛筆でラフな感じに描いた、
「お話設計図」を、彼女のとこにFAXで送ります。

なかなか返事がこない。
なにやってんだろ? 半日くらいで、返事くれるのが普通だけど。
で、2日後に返信されてきました。

戻ってきたラフ見て、びっくり。
「このキャラクター、笑い顔が下品です。」
「ここの変なポーズはいらないのでは。リアクションがわざとらしいです。」
「主人公のお母さん、胸が大き過ぎます。意味もなく、巨乳にかくのは
やめてください」
「いや〜ん。とかいう、女の子、やめてください。いまどき、
いや〜ん。なんてクネクネする女の子、いません」
「このページ、8コマありますが、そのうち、6コマで、ベロを出してます。
舌をいちいち出すのは、犬みたいなので、いかがなものかと」
「鼻水とか、汗とか、ツバキとか、体液をとばすのは、汚らしいので
やめてください」
「ここ、どう見ても、デッサンが狂ってます」
ことこまかに、達筆で、添削してあります。びっしりと。

なんと仕事熱心な。

喧嘩売ってんのか?

カリカリ来ながら、電話をかけます。

「あのさあ、あのFAX、どういうつもりなの?」
「ちょっと、細かすぎたかもしれませんね」
「細かい・・って。あのね。
普通、ネームのチェックって、言ったらね、
題材とか、テーマが、その雑誌にそぐうか?・・・とか、
差別的な表現がないか?・・・とか
おもしろいかどうか・・・
つまんないから、こうなおせ・・・とか
そういうことを言うんだけれど、
これ、なんなの?
デッサンが変だ・・・とか。これ、下書きの前の段階だよ。
僕だって、ちゃんと絵、描いてるつもりはないですよ。
ひどいんじゃない? 顔が下品だとか、おっぱいがでかいのが駄目だ
とか、なんなのこれ?」
「そう思ったから、そう書いたのですが。」
「で、どうなの。この漫画、このスジで、駄目なの?
ダメだってのなら、他の考えるよ」
「駄目じゃありません。笑いました」
「えっ? 笑いました! 笑いましたって、あのねー。
これでいいんなら、いいって最初に書いておけよ!
肝心のこと書かないで、オッパイだのヨダレだのヘチマだの・・・
どうでもいいことばかり・・・」
「ヘチマだなんて、書いてません」
「いや、だーかーら! これはみんな、あなたの好みの問題でしょ?
いいよ、あなたが担当なんだから、気に入るようにするよ。
ママさん、貧乳にすればいいんだろ!」
「大橋さん、発言が女性差別的です」

「あなたねえ、仕事始まる前に、漫画家怒らせてどうすんの?
うまくいかなくなるよ」

ちょっと、大げさですが、こんなやりとりが展開。
すると、彼女、いきなり涙声に。

「はりきって、漫画をなおしただけなんです・・・」
ははは。泣かしちゃった。こりゃ、まずいわ。

「いやいや。わかりましたよ。テニス雑誌しかやってないから、
漫画とか、どう扱っていいのか、わからなかったんですね。
無理もない。」

「でもね、こんなふうに添削というのか、
まるでテストの採点みたいなことやってたら、
おもしろいんだかなんだかわかんなくなっちゃうし、
漫画家のほうだって、これから絵をかいて、ペン入れして、仕上げとか
いろいろあるのに、やる気なくなっちゃいますよ。
記事ページの文章の「赤入れ」じゃないんだから」

「そうなんですか・・・。知りませんでした。
漫画のなおしなんて、どうしていいのか、わからなくて、
ずいぶん悩んだんです」

くそー。あの馬鹿オヤジ。
ナニも知らない若手をあてがうのなら、最低限のこと、教えとけよな!

「これからも、至らないことがありましたら、教えてください。
よろしくお願いします」しとやかに。
「いやいや。まあまあ。こちらは、仕事頂く側なんで。そんなこと
おっしゃらずに!」こっちもヘコヘコ。

まあ、そんなことになりましたが、どうも居心地が悪い。

何日かして。
「おう! うおりゃー。
うちの若いコを泣かしてくれたそうじゃねえか。」

「あんたねー。あんたのせいだろが!
漫画のネームがどんなもんかくらい、教えといてほしいですよっ!
実はこれこれこういうわけでっ!」
「はっはっは。いやいや。まあ、俺も、ちょっと忙しかったんだよ。
うー。それはヒドイね。漫画くらい、誰でもできるだろ・・・
どうせ、うおりゃーが勝手にやるんだし・・・って、思ってさあ」
「まあ、もう終った話だから、いいすよ!」
「わり。こんど、酒飲ますから」

まあ、そんな感じで、その仕事はそれから
スムースに行きました。普通に。
彼女ともうまくやってた・・・と、僕は思っていました。
でも、まあ、1年で雑誌がつぶれたけど。

で、何年かたって。
その出版社に出かける用事が。

玄関先。あの添削女性が、貫禄つけて颯爽と出てきました。
見るからに、出世していそうな感じ。
天気予報のお姉さんが、NHKの加賀美アナウンサーになった感じ。

「お。はっはっは! いや〜、なんとかさん。おひさしぶり。お元気ですか」

「あ!」
・・・・・
「ふん!」
ツカツカツカ!

おいおい。なんだよ。それ。「ふん!」って。
俺、なにも悪いことしてねえだろ!

彼女の上司だったオヤジ編集者は、とっくにリストラされていました。

と、いうわけで
「ひとつ、鍛えてやってくれ!」に、御用心。
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by uorya_0hashi | 2005-10-24 22:32 | お仕事関連

キャラのメリハリ

で、こないだは、なんとなく
最近の、学習漫画の現場では、
若い編集の頭が、カタ〜クなっているという話でした。

で、つづきみたいなお話。

また、別の時の話なんだけどさ。

主人公を思いきりチビにかいて・・・元気なチビ少年ね。
悪役を、筋肉質のゴリラみたいな大男。
女の子を、背の高いすらっとした子に。
その他大勢は、目を3にしたり・・・
のび太が、メガネはずしたとこみたいな目ね。
そういうふうに描いたの。
みんな小学校高学年なんだけど。

でも、やめてくれ・・・って、言われた。
「そんな小学生、いないから」みたいな話。

いるわけないよ! 現実には!
だって、これ漫画だろ!
遠目で見ても、区別がつくよう、シルエットでどのキャラかわかるように
描くのは、漫画の基本だったんですけど。
石森章太郎のサイボーグ009を見なはれ。
とか、言っても、若い人には通じないね。

だから、ドラえもんの友達でも、
ジャイアン、スネ夫とか メリハリあるじゃないですか。
わかってくださいよ・・・って、説明しました。
これは、漫画だから、あまりリアルに考えないでください。
漫画らしい漫画をめざしてるので・・・。
そのほうが、学習要素が、つつがなく、流れるように、説明できますから・・・。
とも、言いました。

じっさい、似たような顔で、似た体型で、
髪型とか髪の色でやっと区別できるようなのは、
もう、それだけでわかりにくくなります。
そこでつまづくと、学習内容に入っていけない。

そう言ったら、わかってくれました。一安心。
話せばわかる。
やはり、説明してみないと。
コミニュケーションは、なによりも大切。

でも、ゴリラみたいな顔とか、ブタみたいな鼻とか、3の目とかは
ダメだって。
顔の造作を強調するのは、差別的だって話。
デブ・・・太りぎみもやめてほしいって。

漫画なんて、もともとそんなもんなのだが。
キツネとかブタとかゴリラとか、出っ歯とか、鼻の下長いとか。
ダメなのか。

しようがないね。クライアントのリクエストだからね。
いろんな事情もあるんでしょう。
お母さまがたが、うるせえこと言ってくるのかもしれないし。
言うこと聞きました。

そうそう、名前もね。
ゴリ平とかブーちゃんとかツネ吉は駄目だって。
そんなヒドイ名前の子はいないから。
まあ、それもそうです。
別に変な名前でなければならない理由もないし。
名前とか、ファッションぐらいは
イマ風のほうがいいと思いました。

でも、ちょっとだけ、サミシカッタけど。

どうも、若い編集者は、
「漫画は漫画なんだから、そんなもんだよ」っていうのが
理解しにくいみたい。

リアル系の漫画が多くなってきたからかなあ。
あっちのほうが、もともとは特別な存在だったんですけど。

メリハリは、漫画の命だと思います。個人的には。
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by uorya_0hashi | 2005-10-22 23:28 | お仕事関連

なかなか難しい

学習漫画を書いているけど、
なかなか難しい。

担当編集者に、
「学習漫画とはこういうもの」みたいな
決めつけというか、先入観があるようだ。

と、いうことで、そんな話をだらだら書きます。



学習漫画とは、子供に学習させたい
教育的要素を、わかりやすく子供に教えるためにある漫画だ。

わかりやすく、印象的にするためには、
ギャグを利かせたり、推理じたてにしたり、
勝負だ!バトルだ!の「コロコロ漫画みたいな形態」にするのも
アリだと思う。
いろんなアノテコノテが考えられる。

20年くらい前、この仕事を始めたときは、
いろんな工夫が許された。
と、いうか、「工夫しなければいけない時代」だった。

しかし、最近は、どうも、ちがうようだ。

漫画を書いたことのない、普通のライターさんが、
担当編集者と相談して、原作めいたものを書いて、それが依頼となる。
「どこまで説明するか」線引きの難しい世界だから、
それが非常に役に立つのだけれど、
それを、そのまま漫画にするには、無理がある。

漫画を書いたことがない人にはわからないかもしれないけれど、
漫画のセリフ・・・フキダシの中に入る文の文字数は、
普通の読者が思っているより、はるかに少ないのだ。

読者が読みやすいよう、10字以内の、適当な切れ目で改行し、
それが5.6行あるのが、普通の漫画だ。
すなわち、一つのフキダシで50字もない。

たいていの場合、
原作に書かれている、説明的なセリフは、そのままじゃ入らない。
なくてもわかる主語や、接続詞、もちろん余計な修飾語はとっぱらう。
漫画家はまず、そういうことをやります。

またライターさんは、言葉で、すべてを説明しようとするが、
絵で・・・図解とかを駆使して、より分かりやすくすることも
できるし、その結果、セリフを大幅に減らすことや、
お話の展開じたいを、てっとりばやくもできる。

この「展開をてっとりばやいものにする」のが
短いページ数の学習漫画には、必要不可欠で、
それに大きくかかわるのが「キャラクター」なのである。

どういうことかというと。

例えば「宇宙と星の謎」みたいな本だとする。
ライターさんの原作だと、
子供が、望遠鏡で星を見ていて、ある疑問を持つ。
で、親戚の天体マニアのお兄さんに、質問しに行く・・・という展開になってる。
これだけで、4ページくらいかかるし、
そのまま書くと、モッタリして、ちっとも面白くない。

で、例えば、こう変える。

まず、夜空の星。奇妙なことがある。
望遠鏡をのぞいてた少年、「なんだあ? こりゃどういうこったい?」
すると、突然、夜空の星が、一個、ドカンと落ちてくる。大爆発。
「なんだ、なんだ?」
星の中から宇宙人。
「君の疑問をキャッチした。星のこと、宇宙のこと教えましょう!」

このほうが、ストレートで、漫画っぽく、おもしろい。(はずだ)
宇宙人を強引な性格にして、いやがる主人公を星型UFOに拉致、
無理矢理、宇宙旅行させ、宇宙の秘密を教えまくる!
ぜったい、このほうが、たくさんの学習内容を、より具体的に
手身近に、わかりやすく、漫画にできるはずだ。

ただ、このスジだと、ドタバタになります。ギャグですな。

まじめな学習漫画を、念頭においていたライターさんや担当は
困惑するかもしれない。

でも、説明して、実際に「こうなります」と
ネーム(絵コンテ。下書みたいなもの)を見せれば、
ほとんどの場合、「このほうがいいね」とわかってくれます。

しかし、最近、多いのが、硬直した考え方のヒト。
若い人に多かったりする。なぜか。

「困ります! 会議で決まったストーリーを勝手に変えては!」
「このほうがおもしろいし、わかりやすいよ」
「まじめなものにするつもりなんです」
「でも、一応、検討してみてよ」
「上司に叱られます。これで上のオーケーもらってるのですから。
この原作どおりにお願いします!
だいたい宇宙人だなんて。これは学習教材なんですよ!」
「いや、漫画だから、いいかな〜って、思ったんだけど、駄目かなあ?」
「そのうえ、宇宙人に拉致され、連れて行かれるとか。
拉致被害者の御家族のみなさんが、これを見たら、どう思うか」
「いやあ、そんなこと、想像するひと、めったにいないと思うけど。
そう言えば、この話、あれに似てるね。いま、気付いたよ」
「大橋さん、この世界で何年やられているんですか。
クライアントの要望に答えるのは、常識じゃないんですか?」
「ははははは・・・・・ああ・・・」

なんか、こんな感じのことが、展開され、
僕の頭はガンガンしてきました。

こんな馬鹿を育てた、偏差値教育を怨みます。
上に相談するのが、そんなに怖いのかなあ?
さっぱりわかんない。

「読者のために、楽しく、わかりやすく」って、スタンスがまるでない。
すごいなあ。読者より上司。なるほどね。就職難だしなあ。
会社も軍隊みたいに徹底してきたのね。

クライアントねえ。出版の現場でも使われるようになったんだね。
広告業界だけかと、思ってたよ!

「学習漫画とはこうだ」って、なんか凄い思い込みが、この人にはあるね。
なんなんだろう。この不自由さは。

と、長くなりました。つい、興奮して。

続きはまたこんど。
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by uorya_0hashi | 2005-10-20 00:29 | お仕事関連