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ただいまこの本品切れです

http://www.amazon.co.jp/gp/product/488701841X/250-1397181-5413855?v=glance&n=465392
と、いう本を読みました。

で、この本を読んで、
「下の記事」に書いたようなことに関連しての「認識」を新たにしました。
勉強になったなあ。

「取り次ぎから、毎日大量の本が送られてくる。雑誌はともかく、
単行本などは、一見して『売れないな』と思えたり、
『どのコーナーのどの棚に並べたらよいのか、よくわからない』ものは
そのまま、棚には並べないで、箱にいれて返品しちゃう」

そんな感じなんだそうです。
ちょっと驚いた。
この本によると。本屋さんは。

とにかく洪水のように新刊が来るので、やむをえないんだとか。
よく考えてみれば、そりゃそうだ・・・と、思いますね。

それで、いろいろ納得できました。

最近、身の回りにおこった出来事が。

うちのカミサンが「それゆけ!てつの進」というアニメのコミカライズを
毎週6ページ、朝日小学生新聞で連載していて、
それをまとめて単行本にして、付録にアニメ本編(3話ぶん)をDVDにつけたものが
6月の末に発売されたのです。
アニメDVDつきで1280円とかいう、「それなら安いなあ」という値段で。

ところが、この本、
どこの本屋に行っても、置いていないし、
本屋に聞くと「売り切れました」という対応。
本当に「すごい売れ行き」なら、結構な話なのですが。
(下の記事には、僕が「自分で体験した実話」も書きました)

で、発売後、1ケ月たって、どのくらい売れたか・・・?
これが、データが「表沙汰にできないくらいの凄い数」。
こんなこと書くと、叱られるくらいの、「さわられたくない状態」みたい。

あわてた版元が、第二巻の部数を急遽減らし、
3巻以降の出版は未定だとか。

その話を聞いて、僕は思いました。
「子供が本屋に行っても、置いてないんだから、売れるわけないだろう」
「 オタク漫画があふれている漫画売り場でなく、児童書の売り場に置いてもらえばいいのに。
内容が完全に『幼年まんが』なんだから」
「本屋に対するアピールが足らない。版元の営業力がないせいなのでは?」

そんなような感じで、別件の電話のついでに
関係者にツッコムと、
「うちのような出版社に高い営業力なんてない」
「本をどこに置くかとかは、現場の書店の判断」
「結局、アニメ番組として、そして漫画家の知名度、認知度が足らないってことですかねえ」
なんていう話が出てきました。

なんか頭にくる「ものいい」ですよね。
妙に、冷静に突き放したような言い方が、見捨てたような。
聞いてて、「やる気あんのか?」という感じ。
お前んとこの商品だろ。
まあ、むこうもいろいろ動揺するような展開があったんだろうけどさあ。

・・・そういうふうにも思いましたが、
この「ただいまこの本品切れです」を読んで、
最前線の「書店の現場」が、
少しなんでしょうが、理解できると
・・・・・いろいろ納得できます。

たぶん、本屋の店員は、
「徹之進」の単行本を見て、
「テレビでやってるアニメの漫画だ」と、わからなかったんじゃないか。
たまにある「犬、猫が主人公の4コマ漫画の単行本」と勘違いしたんじゃないのか。

本の判型が、「よくある4コマ漫画単行本」と同じで、
カバーのデザイン、色使いも、ソレっぽく見えますから。
で、そう考えると、DVDが付録に付いてるのも、なんだかよくわかんないし、
値段が1280円もするのは「高すぎる。売れるか、こんなの」と、なる。

カバーの絵が、もし、カミサン書き下ろしの漫画風イラストでなく、
一番うまいアニメーターさんが書いた、女の子が犬をだっこしてる
「なんとなく萌え系」の、セル画みたいなやつだったら、すんなりと、
アニメ関係の漫画(原作の漫画)とかのコーナーに置かれたでしょう。
そうしたら、付録のDVDも生きるでしょう。

あるいは、この本。
漫画の内容で言ったら、完全な「幼年まんが」。
いわゆる、普通のアニメのコミカライズというのとは、随分違う。

藤子先生が、低学年むけの学年誌で書いた6ページくらいの「ドラえもん」か、
原ゆたか先生の「ゾロリ」シリーズ(あれは漫画じゃないですが)
みたいなもの。
朝日小学生新聞に連載された時は、オールカラーの6ページ1話完結形式なので、
絵本とかに通ずるような「コンパクトな面白さ」があります。(手前ミソですが)
実際、朝小では、それなりの評価は獲得しているようです。

そういう、「小学校低学年」むけの漫画ですので、
いまや、オタク漫画の洪水にみまわれている、「ふつうの漫画売り場」には
「ふさわしくない」内容。
どちらかというと、絵本とか「まんが日本の歴史」とか「ひみつシリーズ」が
置かれている「児童書コーナー」にふさわしい内容と言えます。

だから、むしろ、デジタル彩色されている元原稿の鮮やかさを生かして、
ハードカバーの絵本のような作りにして、
本全体から「これは漫画売り場でなく、児童書のところに置いてね」という
ムードを発散させる。
そのほうが良かったかもしれません。

なにしろ、漫画売り場の単行本はビニールパッケージされていますが、
児童書では「立ち読み自由」。
親の買い物につきあって、スーパーの本屋なんかで
時間をつぶす小学生は、児童書コーナーで熱心に立ち読みしてます。
内容が、面白いかどうかわからない「漫画コーナーの漫画本」なんか
相手にしません。
で、そういう「ひみつシリーズ」なんかを、子供が熱心に読んでると、
それを見た親が「まあ、感心に、学習モノなんか読んでる。
ためになる本なら、買ってあげましょう」とか言って、買い与えるのです。

小学生低学年を相手にして、内容で勝負したいのなら、
漫画売り場なんかより、立ち読みできる「児童書」で勝負したほうがいい。
漫画売り場はもうダメです。
子供に売ろうと思うなら。

ビニールで中身見れないし、
カバーだけなら「かわいい絵だなあ」なのに、中見ると「エロ本の一歩手前」
だったりして、子を持つ親にしたら「地雷原」のような有様です。

だから、この「徹之進」は、児童書に置いてほしかった。

でも、DVDをつけて、低価格で提供するため、
カラーの漫画を一色に変換し、
DVDがつけられる大きさということで、4コマ漫画単行本の大きさとなり、
本の厚さも、ちょうど4コマ単行本くらいになって・・・・

「エラク高い、犬の漫画だなあ。売れるわけないや。
聞いたことのない、新興の版元だし。
置くとしたら、4コマ漫画コーナー なんだろうな。
でも、だいたいもう、4コマ単行本って
前ほど売れないんだよね。
この本の大きさだと、4コマかエロ漫画なんだけど、
どっちも、前ほど売れないんだよなあ。
ふーん。DVDがついてるのか。
値段も高いし、万引きされると、被害でかいしなあ。
なんか、いろいろ考えてると、めんどくさくなってきた。
いいや。ソッコウで返品しちゃお。バイバイ」

そんな感じだったのではないでしょうか。
みんな想像だけど。

で、「どこの本屋にも置いていない」
「入荷したのに、どこも売りきれ」
「でも、ムニャムニャなくらい、売れていません。実際のところ」
と、いうことが起こったのではないのかと。

本を作る前に、実際に本屋さんに通って、
現地調査をしたりして、研究すべきだったんでしょうね。
会社内の営業さんと、入念に対策すればよかったんだろうなあ。
そういうことが、わかっていたかもしれない、営業さんは。
版元が、べつの版元の営業部門を吸収合併したりして、バタついた・・・
とか、あったのかなあ。みんな想像だけど。

本を作る側に、内容と値段に自信が中途半端にあったため、
実地調査とか、本屋の現場とかと、ずれたのかもしれない。

なんか、そんなことを
この「ただいまこの本品切れです」を読みながら、
いろいろ考えてしまいました。
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by uorya_0hashi | 2006-08-11 11:26 | 漫画関連