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学習漫画をやっていて 1

80年代に、まだ大学生のころ、
学研で「まんが中学歴史」という単行本をやりました。

同じシリーズで、何冊かやったんですが・・・・
そのメンバーには、僕以外に、
早川書房で「宇宙大作戦」の文庫のイラストを長年やってる「中村亮」とか、
かの有名な「高河ゆん」さんとか、マガジンで連載してた「MMR」に出て来た
「リーゼントのナワヤ記者」とかも漫画を書いてました。
ああ、思い出すと、なつかしいなあ。

で、そのころから、僕は・・・・
別に「学習漫画ひとすじ」でもなんでもないんですが、
「普通の娯楽漫画家」としては、全然成功しなかったので、
ず〜〜〜〜っと「学習漫画」を書いてきたんですね。
もちろん他にも「子供向けのギャグ漫画」とか「読者ページ漫画」「ゲーム漫画」
「イラスト」や、「編集者のまねごと」「ライターのまねごと」もやってましたが、
「学習漫画」だけは、わりと切れ目無しに、いろいろやってきました。
発注が多かったのは、学研さんでしたけれども。

30年くらい、そういうお仕事をやっていますと、
いろいろ状況が変わって来て、なかなか凄いなあと、思う事があります。

昔は、版元の社員の編集者さんが「こういう学習漫画をやりたいんだ。
で、こういう学習内容を、こんな感じの漫画にしたいんだけど・・・」
とか言って、
「箇条書きになった、学習内容一覧」と「おおまかなアイデア、プロット」を
紙に書いて、それを持って、依頼してきました。

で、打ち合わせで「こんな感じのほうが、もっと面白いのでは?」とか、
僕の方からも提案し、編集者と漫画家で、
「学習漫画を練り上げて作る」と、いう感じでした。

ところが、そういうやりかたは、あんまり一般的でもなかったのかもしれません。

と、いうのは、
その後、自分が「編集プロダクションの編集者」(一時期、就職していたのです)
として、何人かの漫画家さんに
「学習漫画」を依頼にいく機会があったのですが・・・・

なんというか、「読者に教えなければならない学習内容」を
ちゃんと理解出来ない漫画家さんが、少なからず、いたんです。

資料を示して、説明し、
「この本、読んでください」と、資料の本を何冊か置いて来ても、
その本も読む気がないのか、
全然内容を理解してない。

下書きの漫画読むと、キャラの顔が書いてあって、
ダラダラと長い説明をしゃべってるだけで、面白くもなんともない。
漫画家さんが、「学習内容」を理解していないし、やる気もないのが
一目瞭然です。

「これじゃちょっと・・・。本、読んでくれましたか?」というと、
中には
「俺は勉強が苦手だから漫画家になったんだ。大学も高校も出てないしな。
漫画ひとすじさ! で、あんた、そんなこというなら、
ちゃんとした原作書いて、もって来てくれ。そしたら書きますよ」とか言う先生もいて・・・・

「ああ、そうか、そういうことが苦手な先生もいるんだな」
と、いうことで、
「じゃあ、しょうがないや」と、「適当な原作」を書いて、なんとかしたりしました。
そうすると、その先生、いい仕事をしてくれましたよ!
自分のテキトーな原作が「へえ。こんなふうになんのか」とか変わります。あれは感心した。
勉強になりました。

絵を書いたり、コマ運びとかは、得意だけれども、それ以外の部分で、
いろいろと「苦手」なことがある人もいるんだな・・・・と、そのとき、思いましたね。


で、また時代がすぎて・・・・
僕は、勤めていた「編集プロダクション」をやめて、
フリーの「売れない漫画家」になってた。
そのころは、
学研なんかでも、「編集プロダクション」がたくさん、中に入って仕事をするように
なってました。90年代あたりかなあ。

そうすると、依頼のときに、編プロの人が来ます。
もう、「社員」は来ないんですね。多くの場合。
で、わりとちゃんとした・・・ように見える、ワープロで書かれた「シナリオ」みたいなのを
持ってくるんですね。

ちゃんとした・・・ように見える「シナリオ」というのは・・・ですね。
「盛り込まなければならない学習内容」は、
そのシナリオにちゃんと盛り込まれてはいるのですが、

やはり「キャラクターがダラダラしゃべってるだけ」になっていたり、

そもそも10ページしかない単発の学習漫画なのに、
キャラクターが10人くらい出て来て、いらない人間ばかり・・・・
(読者まごつくぞ!)とか、

出てくる5.6人の男の子を「美形揃いにしてくれ!」とかいう、
「誰か」の趣味まるだし・・・・のものだったり、
(そんなの学習漫画でやる必要ないんじゃないかしら。だいたい、僕に書かせなくても)

設定に無意味に凝りまくり、
「宇宙暦7085年、宇宙ステーションで、科学の実験が行われていた」とか言って、
やってることは「でんじろう先生の科学マジック」みたいなのだったり、
(そんな設定、まるで意味ないだろ!)

長編ドラマ形式で、内容的には何10ページも必要としそうなお話を
10 ページに盛り込め・・・・みたいなことになってたり・・・・

まあ、ようするに、一見、それらしく書いてあるけど、
そのままじゃ全然使えない・・・・というシナリオを持ってくるんです。

もちろん、中には「おお。さすがだなあ」というシナリオもありました。
ちゃんと「漫画をわかってるライター」もいないわけではありません。
漫画が好きで、なおかつ、自分で文章を書くのが好きでしょうがない・・・みたいな
編集者(なぜか女性の場合が多かった)の場合なんかは、
「へえ。このままでいいや。ふうん、ちゃんとわかってるんだ」とか
思ったものです。

が、たいていは・・・・

「編プロの上司が、漫画のシナリオを書け! と命令するので、書きました。
そんなことやったことないのに。 でも、なんとか書いて、上司に見せて、
上司が版元の社員の編集に見せたら、これでいいってことになったので、
依頼にきました。だから、これで書いてください」

とか言う感じなので、まあ、なんちゅうか・・・・そのままじゃダメだよね。

で、僕のほうから提案します。
「ねえ、これ、ちょっと変えていいかなあ? こういうふうに変えたほうが、
もっとわかりやすく、面白くなると思うけれども」

「あ! そうですね! そのほうがいいなあ。わかりました。そういうふうにしましょう。
でも、この部分については、『どうしても入れろ!』という話なので入れてください」

だいたい、そんな感じでなんとかなりますね。

たまに「上司の命令なので」とか
「クライアント(版元の社員編集のこと)には、そのシナリオでオーケーが出ております。
なので、今更変更は出来かねます。そのシナリオで書いてください」
とか、まるで、血が通っていないマシーンみたいなお役人もいたり。

「どんなにダメなシナリオでも、それを面白く見せるのがプロなんじゃないですか?」とかいう、
一見、正しいことを言ってるような口ぶりで
「糞を黄金に見せろ」なんていう無茶苦茶をのたまう馬鹿たれがいて・・・

そういうときは、たいてい、早い段階で喧嘩になっちゃうんですけれども。ははは。

まあ、たいていは、なんとかなりますね。
ただ、そんな「使えないシナリオ」は、いらないんじゃないか? と思います。
どうせ、こっちでいじる場合が大半なんだから・・・
無駄な作業に手間ひまかけることない。

昔みたいに「漫画の中で訴えたい学習内容」をちゃんと紙に書いて持って来て、
「どういうふうに、子供に理解してもらいたいのか」意図をちゃんと、僕に説明してくれれば、
それでいいんじゃないですかね?

そういうふうに何度も言ったんですが、
それだと、「編集プロダクションがほとんどなにもしていない」ことになるし、
版元編集と編プロとの間で話し合うことも、あんまりなくなっちゃう・・・・から、
いろいろマズイのかもしれない。
いつまでたっても、どうでもいいシナリオを書いて持ってくるの。

まあ、要するに、「使えないシナリオ」でお金貰ってるということなんでしょうね。

それと、「シナリオがないと何もやろうとしない漫画家」も、
前述のとおり、少なくないので、
僕がどういう漫画家か、よく知らなければ、そういうものも作らないといけないのかもしれない。

労力の無駄なんですが。何度も言うけど。
(出来の良いものは、助かりますよ。これも何度も言うけど、そういうのもあった)
使えないシナリオなんかいらないから、その労力のぶんだけ、
こっちのギャラ増やしてくれ・・・・とか、思いました。

まあ、あんまり言うと、「仕事の流れを破壊する悪い漫画家」という評判をたてられるので、
あんまり言えないんですけれども。こういうのは、ある程度はウヤムヤがよろしい。
いろいろ持ちつ、持たれつ。手柄は分かち合わないとイケナイ。


ああ、思い出した。
こんな話もあります・・・。
(続く)
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by uorya_0hashi | 2009-03-05 18:48 | お仕事関連