『男たちの好日』全巻ゲット!

マンガ・アニメ
 先輩の漫画家、ながいのりあきさんの単行本、『男たちの好日』
全4巻を古本屋でゲット! 古本でスミマセン。ながいさん。
新品同様でした!なんというラッキーか! 
ずっと探していたのだ。
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 ながいさんは、同じ大学漫研の先輩で、80年代前半、
サッカ−漫画『がんばれ!キッカーズ』を大ヒットさせた漫画家。
一度だけアシスタントに行ったことがある。
また、会う度に、いろいろと、漫画についておしえてくれた人
でもある。その人が、2.3年前に創刊された「コミックバンチ」
で連載していたのが、『男たちの好日』。
 連載が始まったころ、何回か雑誌で読んだのだが、その時は、
原作の地味な立志伝を忠実に漫画化しているなー…と、
言った感じ。
「ながいさん、イイ仕事してますねー」という、
「読んで納得レベル」には感じていたのだが、それ以上の
感想はなかった。
 ところが、連載が終了してから、2ちゃんを中心に
「男たちの好日を再開しろ!」という気運が高まり、
この漫画のことをすっかり忘れていた不届きな後輩(俺)も
「なんかすごく盛り上がっているみたいだ!」と、気がついたのだ。
 で、「これは読んでみなければなるまい」と、書店で探すも、
全4巻、すべて品切れ。増刷の予定なし!とかいう無惨な結果に。
古本屋で探しても、ボロボロの1、2巻が見つかるのみ。
どうやら3、4巻は極端に刷り部数が少ないらしい。
それから、ずっと探していたのだが…。

 実は、この夏、何年かぶりに、ながいさんの仕事場を訪ねた。
そこでも<もちろん、『男たちの好日』の話が出てきた。
「なんか、ネットですごい人気だったんですけど。『好日』…」
「そうらしいねー。俺、パソコンできないんだけど、知り合いが、
たくさんプリントアウトしてくれてさ。勇気づけられたよ!
連載当初は、できるだけ原作に忠実にやろうと思ってたんだけど、
全然人気がなくてさ。ああ、このままじゃヤバいなあ…ってんで、
「ダム編」で開き直って、キャラを立てることを最重視すること
にしたんだ。だから「ダム編」からは、ほとんどオリジナルだよ。
そうしたら、読者の反応も良くなってねえ。
かなり人気が出てきたんだ!」
「えっ? 人気があった…? 人気があったのに、
連載切られちゃったんですか?」
「うん。人気以外にも、編集部のほうには、さまざまな
大人の事情が発生してね。納得いかないけど、どうにも
ならないんだよ。まあ、よくある話なんだけど、
漫画の世界では。」

「でも、俺さあ。7年前に大病して、
それからうまくいってないだろ?
この漫画に賭けていたんだよ。
はじめは、ちょっと畏縮してたかなーという
感じだったけど、ダム編で、こう、なんか、
つかんだな!…っていう感触があって、
これは『来たなッ!』って感じで、湯水のごとくお話が
わいてきてたんだよ。それが、こういう
終わり方をすると…さすがに…」
「ものすごく落ち込んだよ。もう立ち直れないかな…って
感じだったけど、このプリントアウトを読んでね、救われた。
ああ、読者に『届いていたんだ!』ってね!」
「すいません。そこまで言われてアレなんですけど、
単行本が見つからなくて、3巻以降読んでないんです…」
「あ〜、あ、あ、そうなの? ははは。まあねえ。
3巻.4巻なんて5000部しか刷ってないから。同人誌だよお。
ははは。たぶん、見つからないだろうなあ。
うーん、自信があるの、3巻からなんだけどねえ、
残念だなあ。はははは」
「人気があったって話なのに、なんで5000部しか
刷らないんでしょうかね?」
「いやあ、連載してから、単行本になるまで時間差が
あるだろ?3巻の話が出たときには、連載終了が決まって
いたから…、もう終わるモノをたくさん刷ることはないって、
判断みたいだよ」
「むうう。ところで、3巻4巻は装丁のデザインが変わって、
カバーにキャラクターの顔が出ていませんが。
漫画の単行本なのに、ずいぶん変わったことをやってるなあ
という感じなんですけど。これはなぜ?」
「なんかね。内容が大人っぽいというか、出てくるの
オジサンばかりだし、城山三郎先生の原作のファンに
アピールしようという、版元のアイデアなんだ」
「まあ、1,2巻のカバーは、たしかに子供っぽいかも
しれませんね。でも、5000部しか刷らないのなら、
そういう、ちょっとした変更なんて、意味がないのでは? 
それにだいたい、これ、カバー用の絵がないわけだから、
漫画家にカバー絵の稿料が入ってこないんじゃないですか?」
「お前な、細かいね。言うことが。
まあ、そうなんだけど、もう連載終了って
決まってからは、そんなことどうでもいいって感じだよお」
むむむ。まあ、そりゃそうだろうな。

とにかく…他にも裏話を聞いたこともあり、
その日はいろいろ打ちのめされた。
しか〜し! それにつけても、
絶対読みたい『男たちの好日』全4巻!
それが、ついに古本屋で…。目を疑いましたね。

 で、読んでみた。
この漫画は、大正時代の実業家「牧玲睦」の立志伝で、
1巻は房総の海岸でヨードチンキの工場で成功する話。
2巻は、それが需要の変化で失敗し、ドツボにおちる。
会社は人手に渡り、主人公は買収先の実業家に拾われて、
信州山奥のダム工事現場の所長をまかされる。
ところが、そこには、不真面目な荒くれ者の土方と、
ダム建設に反対する地元住民の戦争のような衝突があり…
ダム建設のためには次から次へと艱難辛苦をクリアせねば
ならなくなる…で、3巻と4巻のほとんどがダム建設編。

 1巻は、たしかに、キチンとしてるけどイマイチ。

 ダム編…なんだこりゃ。話が『三国志』になってますけど。
ダム編はじめて、まだ間もないころ、コマの隅っこにいた、
名前もないような有象無象の荒くれ者が、
話がノリノリになるにしたがい、まるで古代中国の武将のような
描かれかたを…。大ゴマでドアップ、カメラ目線を
バシバシ決めるし。有象無象だと思っていたキャラについても、
ガンガン、ページをさいて、エピソードを書き込んでいく。
荒くれ者の意外な純情とか。
 基本的に、主人公は劉備玄徳みたいに、勇気と、
皆が幸せな社会を夢見てがんばるその姿勢…徳によって、
まわりを動かしてゆく。で、まわりの荒くれ者が、
それに心酔して、あるいは、その将来性をみこんで、
関羽とか張飛とかみたいになって、あるいは孔明みたいな
人物がゾクゾクと集まってくる…そんな筋書き。

三国志が、各武将のキャラクターをねっちり書き込んで、
悪役ですら、ファンがついてしまうような筋立てになっていたり、
話が進んで、いったんお話から消えたハズのキャラが、
とつぜんカムバックしてきて、読者を喜ばせたりするところも
よく似ている。
 そういえば、ながいさんは三国志とか水滸伝のファンだった。
そして、男一匹ガキ大将のファンでもあったはず。そんな感じが
よくでている。

 ながいさんは、『男たちの好日』の原作を骨組みに、
三国志をやろうとしたのだ。
 なるほど。これはたしかに面白いわ。評判になったのも
わかる。展開が無理矢理なところもあるけど、
ハッタリがきいてないと、漫画はつまらない。
無理矢理、おおいによし! 伏線を捨てても、伏線がなくても、
おもしろければよい!(ダム編以降は、おもしろいが、
話のつくりがおおざっぱだ)

 ながいさんは、現在、歴史まんがを描いているとか。
きっと、こういう三国志テイストを生かして、熱く、
キャラをたてて、お話を読ませているに違いない。
 期待しちゃうなあ!

 とにかく、読んで、いろいろ勉強になりました。
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# by uorya_0hashi | 2004-09-02 10:26 | 漫画関連