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もやしもん

子供が、古本で買って来てたので、
読み出したら、仕事しないで、7巻まで読んでしまいました。

なかなか「濃い」漫画で、読むのに、時間がかかるなあ。
ネームも多いんだけど。

大学生活特有の楽しさを書いた漫画で、
なんとなく「げんしけん」に近い面白さがある。

主人公が「受け身」で、
「なにも考えてない」が「可能性だけはありそう」。
個性がはっきりしない。

で、ワキ役の個性がクッキリハッキリしてる。
キツイ姉ちゃんとか、酔っぱらって暴れる・・・女湯覗くとか、
頼りないように見えて、事あらば、頼りがいのある「先輩」とか、
「俺は知らないヨ。勝手にやれ」とか言ってて、結局、一丸となって・・・
とかいうようなところもよく似てる。
真似した・・・とかいうより、こういうものの「定番」の構造なんだろう。
学園ライフものの、定石を押さえたニクイ漫画。

で、それに、
「菌がキャラクターになって見える」という新趣向と、
発酵だの醸造だのという、菌にからんだ「ウンチク」を
楽しく教える学習漫画の要素が絡んでいる。

7巻まで読んで、
主人公がいまだ「無目的」で、
まわりに振り回されていて、しかもそれを満喫してるようで・・・
こういうのも珍しいんじゃないか。

現代的な若者像と言えるけど、7巻まで続いて、そのまま・・・という
漫画もあんまりないと思う。
目的とか目標がないと、漫画は続けるのが難しいんだけどな。
それでも面白いんだから、他の部分が凄くイイってことなんだろう。

「菌が見える」という、主人公の特殊能力も、
お話の上では、さほど重要でもなんでもない・・・という所も・・・
あんまり普通じゃない。

「霊が見える」というのが主人公なら、「悪霊払い」とか
そんな話になるのが普通だろうけど、
この漫画だと、「菌が見える」からと言っても。
全然そういうふうになっていかない。ユニークですね。

それより、くりかえし出てくるのは、
「常軌を逸したような話」でも、あっさり「戯言だ、デタラメだ」と
決めつけず、真面目に聞いて、
本当の事言ってるようなら・・・あるいは、それが友達の言葉ならば、
あっさりソレを受け入れよう・・・信じよう・・・
そうしたものには、必ず良い事がおこる・・・
みたいな展開。

・・・パスツールとかメンデルとかウェゲナーとか、
新発見したヒトとの伝記を思い出すような話が出てくる。
なんで、こういう展開が多いのか、よくわかんない。作者の好みなのか。

作者の好みと言えば・・・・
ボンデージ着てる女の先輩とか、
ゴスロリの女装してる美青年の友達とか、
作者の趣味で出してるだけだろうけど、フェチ的書き込みがなかなか凄い。
でも、全然「本筋に関係なく」て、そこがギャグにすら感じる。
作者は、間違いなく変態(良い意味で)。

ゴスロリの女装する友達なんか、ソックリさんが2人も出て来て、
それになんか意味あんのか? とかいうと、まるでなさそうだし。

農大祭りの不思議なイベント(ゲーム?)も、
ネタがなくて、適当に始めた・・・みたいな「意味の無さ」。

「水戸黄門」のチームか、「スタトレ」のクルーみたいな・・・
完成されたアンサンブル(人間関係)の、ゼミの仲間が、
「今回は学祭に挑戦します」
「つぎはフランスに行き、ワイン工場で人助け!」
「今回は醤油作りに挑戦だ!」みたいな・・・・・

連続短編ドラマ形式みたいな、
わりと、しょうもない・・・ゆるい構造の漫画。

話のほうは、作者と担当でヒーヒー言いながら、
ひねり出しているんだろうな・・・とか、そんなふうに思いました。
「つぎ、どうしましょうか〜?」
「う〜ん。学祭がいいんでないの? 学校に泊まるのやりたいね」
「終わらない学祭ですね」「そうそう。あれやろう」
「なんか、変わったのじゃないとつまんないな」
「大学全部使った鬼ごっことか、騎馬戦みたいなものはどうかなあ」
こんな感じで、「ひねくり出した」ような雰囲気がある。

絵もすごいし、異様に真摯に取り組んで書かれた漫画で、面白いし、
すごく好みなんだけど、
「なにが言いたいか」「なにが書きたいのか」みたいな面で言うと、
実は何もないんじゃないか。
ギャグ漫画のように、中味は空辣な感じがする。

絵は「楽しんで書いてる」という絵で、すごい。
かなり個性的な感じかな。現代漫画としては。
特に書き込みが、いろんな部分で、前時代的なハンドメイド。
銅版画みたいな書き方してて、水木しげるの背景みたいなもの結構ある。

こんなのアシスタントが描けるのだろうか。
つうか、こんな書き方する意味なんか、ほとんどない。
が、そこがいいんですね。フェチズムなんだ。書きたくて書いているだけ。

でも、連載なのに、こんなんじゃ、手がかかりすぎるから・・・

ラクガキみたいな「菌」がたくさん出てくると、
作者はそこで「息抜き」みたいな感じになって、
ちょうどいいのかもしれない。

ウンチク話の展開時は、読者も、文字読む方に頭使うから、
ラクガキみたいな絵のほうが、眺めるのがラクで
バランスとれていいのかもしれません。

面白いし、続きも気になるけど、

問題点は・・・・
この「ペース」で、どこまで続くんだろうか? つうこと。

たぶん「ゴールなんかない」漫画だろうし、
延々とやんのかなー?

(この記事は2009年5月5日に書きました)

漫画は雑誌ではほとんど読まないし、
ここ数年は、家計が火の車なため、残念ながら「古本で買って読む」ことが多く、
「ブーム」から平気で1〜2年、下手したら数年遅れて、初めて読む場合が多いです。

で、世間の流れにはおかまいなく、好き勝手なことを書くのが、自分の日記なんですね。

すみません。
「もやしもん」のその後の続刊は、ちゃんと定価で買ってます。
がんばれ! 石川先生。
by uorya_0hashi | 2010-08-09 13:28 | 漫画関連
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