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話半分(そのいち)

むかし、あるホビー漫画・・・
少年の主人公が
恐竜のプラモデルみたいなオモチャを作って、
それを自分なりに「改造」して、
バーチャルリアリティみたいな世界で、
他の少年の改造恐竜プラモと闘う・・・
そういう漫画の「原作」をやったことがあります。

これが、トラブルの連続でした。

簡単に言うと、編集者と、漫画家が喧嘩になったんです。

で、こういう場合、
おのおの言い分はあるもので、
どっちの話が正しいのか、信じて良いものか、なかなか難しい。

結局、「まあいろいろあったよね。でも、まあ、すんだ話だから」というコトで
長年、収まっていたのですが、
「金色のガッシュ」の先生の、一連の悶着に刺激されたのか、
その当事者の漫画家さんが、
自分のブログで「俺も、小学館にはヒドイめにあった」とか
書いていたんです。

その先生が、「ヒドイめにあった」のは、確かなんですが、
一方的に「編集者が悪い。小学館が悪」と、取れるような書き方は、
ちょっとどうなんだろうな・・・って思った。

「金色のガッシュ」の先生の言い分と同じで、
たぶん、本当のことではあるんだろうけど、
自分に都合の悪いことは、上手に外して書いてあるような。
で、「組織の人間」である「小学館の社員」は
めんとむかって、「反論してくる事は無い」。
そう、予想して、書いているような感じもする。

いやいや、単純に「意志の疎通」がうまくなされておらず、
最初から最後まで、そして今でも、
「行き違って」いるだけなのかもしれない。

とにかく、こういう喧嘩のような
話は、すべてが「本当の事」と思ってはいけない。
両方に言い分があるもの。

なにごとも「話半分」です。

僕の、ブログで書いた話も、
「話半分」で読んでいただいて結構。
ウソついてる気はないですが、話をわかりやすくするため、
はしょったりするし、忘れてしまったこともあります。
話半分、話半分。常時、眉にツバしておけ。
それがメディア・リテラシー。


・・・・・で、漫画家さんと編集者との喧嘩の話。

はじめに、その漫画家さんをネット経由で引っ張って来たのは、その編集者でした。

その漫画家さん、もともと、講談社でたくさん仕事されてる先生だったのですが、
小学館学年誌の編集さんがホームページ見て、「絵柄がかわいらしい」ということで、
メールかなんかでコンタクトとって、引っ張って来た。

のちに、漫画家さん当人から聞いた話では、
そのとき、講談社で世話になってた雑誌の、新任編集長と
そりが合わなかったとかで、「渡りに舟」だったらしい。

で、編集者が任せたのが、
テレビゲームのかわいらしい動物キャラの版権もの。
僕は、そんなに真面目に読んでなかったんですが、
人気はかなりあったらしい。

ただ、編集者は出来に不満だったそうです。

普通、「人気あったんなら、いいんじゃないの?」なんですが、
この漫画、「読み切り」形式じゃなくて、
ダラダラと「ヒキ」(この続きはまた来月!というやつ)で、
次回に繋がる感じだった。そればっかりだった・・・そんなふうに記憶してます。

その編集者の持論としては
「学年誌は、月イチなので、『つづき』を引っ張ってもあんまり意味ないんです。
ちゃんと、一回で話に決着がついて、それでいて、次回をなんとなく
期待させてくれるようなのがいい。70年代の少年ジャンプのような」
だったので、(僕は長年つきあってたので、いろいろ聞いてました)

まあ、簡単に言うと、編集者の「好み」じゃなかったんですね。

でも、このゲームキャラ漫画が、人気あるのに、終了したのは、理由があって。

小学館と、ゲーム会社の間で「行き違い」があり、それでモメて
終わっちゃったんです。確か。
コロコロで別の漫画家さんがやってた、同じキャラのゲーム漫画も
同時に終わっちゃって、なんかそんな話でした。
(ちょっと、記憶があやしいですね。間違いないと思うんだけどなー)

で、そのゲーム漫画が、人気あるのに、さっさと終了したので、
その編集者、責任も感じて、
つぎに、恐竜プラモの漫画を、その漫画家さんにお願いすることにしたんだ
そうです。

当時、コロコロ本誌では、同じ恐竜プラモの漫画が、大々的に連載され、
アニメ化もされていたんですが、
それは、「別世界で、巨大な恐竜型兵器にのって、世界大戦がくりひろげられている」
というような、マジメで壮大なSFファンタジーでした。

世界観が、結構複雑で、マニア好み。
小学校低学年には、ちょっと難しいかな? というものでした。
で、恐竜プラモは、お兄さんたちには人気があったのですが、
小さな男の子にはイマイチの食いつきでした。

で、そこらへんが、プラモのメーカーの、一部のひとには不満で、
「もっとわかりやすく、プラモを作る喜びを子供に教えるような漫画の
ほうが良かったのでは? たとえば、ガンプラにおけるプラモ狂四郎のような」
という声が出て来たんだそうです。

でも、コロコロでは、「壮大なファンタジー」が頑張ってますから、
そちらで「狂四郎」やるわけにはいかない。
必死に「壮大にやってる」漫画家さんにも編集者にもアニメの人にも悪い。
ジャマするようなもんだから・・・。

でも、学年誌では、カラーグラビアで商品情報の説明はあるものの、
「漫画」ではやっていません。だから・・・。
じゃあ、学年誌のほうで「狂四郎」やったらどうだろう・・・
そんな話になったんだそうです。コロコロに内緒で。

で、編集者がお願いしたのが、
「ゲームのかわいらしいキャラ漫画」が、大人の事情で終わってしまった
件の先生なんですね。
なんと、この先生、講談社時代にガンダムのギャグ漫画で
かなりの人気者だった。評判としては「メカに強い漫画家」。
まさに「うってつけ」かもしれません。

で、「プラモ狂四郎みたいな漫画」・・・の話になりますが・・・。

「プラモ狂四郎」という漫画は、
ガンプラが大好きな少年が、自分なりの工夫でガンプラを組み立て、改造し、
同じようなことをやってる敵役の少年と、その改造メカと
脳内バトルを繰り広げ、毎回勝つという漫画です。
読み切り形式のバトル漫画ですね。基本としては。

だから・・・・
最初に主人公が、ノーマル恐竜プラモで
敵役のプラモと戦い、負ける。

主人公は、悔しいから、いろいろ考えて、工夫して、「改造」する。

その改造が、図に当たり、うまくいって、敵役プラモを倒す。

「覚えてろ!」と、敵役が復讐に燃え、次に繋がるか・・・
「負けた。でも、お前はさすがだぜ。タイマンはったら、もうダチだ!」という
さわやかバカ男気路線になるか・・・どっちかがオチになる。

こういうのが「お話の基本」になります。
こういうのが、洟たらしてプラモに熱中するような男の子が
一番喜ぶ黄金パターン。

でも、「プラモ狂四郎」って、一話が30ページとかあるんです。
一方、学年誌に許されたページ数は16ページとか、そんなもん。

ものすごく手際よく、パッパカ話をすすめないと、ページが足りなくなります。
大ゴマなんか、ここ一番にしか使えない。
主人公の性格も、「慎重でまったりしてる」とか悠長なものだと
ページが足りなくなる。
「見る前に飛べ」という「オッチョコチョイ」とか「江戸っ子気質」の
ような性格のほうが、短いページ数むけですね。
ハードなストーリーよりも、コメディ調のドタバタ風味のほうが、
チャカチャカ話は進みますから、そういう雰囲気の漫画の方が合う。

ところが、その漫画家さん、初回から「やった」んです。
主人公がどういうやつだか、いまいちわからない。
で、正体は次回にわかるでしょう! 「つづく」みたいなネームを書いた。

で、編集者が怒り出したんです。
「いままでの、ゲームキャラ漫画で、あれほど『読み切り』がいい。
変に引っ張るのはやめてくれ!と、口を酸っぱくして言ったのに!
で、こんどは「プラモ狂四郎」みたいな漫画にしてくれ! と頼んだのに!
玩具屋さんからも、あれほど念を押されて。だからちゃんと話し合ったのに
このひとは全然わかっていなかったんだ!」そういうことで。

でも、この編集者、いま、僕が説明したみたいに、
わかりやすく、言葉で、漫画家さんに伝えていなかったみたいです。
あんまり、言葉で強く言うひとじゃなくて、我慢して飲み込むタイプ。

漫画家さんにしたら、
「なんで、この人は突然怒り出したんだろ?」
「これから、面白くなるように書き直せばいいのにな」
と、思ったらしいです。なにしろ、新連載の初回ですから。

「次回はもっと面白くなりますよお! これから、コレカラ!」とか
言ったらしいんです。ニコニコして。

そしたら、ますます腹がたったらしいです。編集者。
「この野郎。俺があれだけ言ったのに。説明したのに。
一年間、一緒にやってきて、全然わかっていないのかッ!」
・・・ゲーム漫画の一年間が「前提」になってるんですね。

いっぽう、漫画家さんは
「ゲーム漫画はゲーム漫画。プラモ漫画はプラモ漫画。一から出直しですから」
「これから、どんどん面白くなるヨ! で、いいじゃないですか?」
だから、全然、話が噛み合ってなかったみたいです。

第一、漫画家さんのほうは、
「俺のゲーム漫画は、不可抗力で終わってしまったが、一時は
雑誌の中で人気一位になったこともある。それくらい自分には実力があり、
それは相応に評価されてしかるべきだ!」と、思ってますし。

編集者のほうは「あのゲーム漫画が人気があったのは、
単に、そのゲームが馬鹿当たりしていて、そのゲーム人気で
漫画も一位になっただけだろ! それが証拠に、同じキャラのゲーム漫画を
別の漫画家さんが、「別の学年誌」でも、去年やってたが、
そっちも一位だったんだ。だから、誰が書いても、あの漫画は当たるんだ。
この漫画家が、俺の言う通りに『読み切り』で書いてくれてたら、
もっと人気が出たんじゃないか・・・そう思うくらいだよ!」
くらいに思ってます。

どっちもどっちというか。

なんでもいいから、あんたら、ちゃんと話し合って、仲良くやりなはれ・・・
そんな感じでした。

(続く)(長くなりすぎて疲れました)
(タダの原稿だから、勘弁してください。続きは意地でも書くぞ!)
by uorya_0hashi | 2008-08-05 02:49 | 漫画関連
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